西洋人と「気」

東洋の文化圏では以前から親しまれていた「」という概念ですが、これが世界的に一般化したのは最近のことです。しかし、東洋の人間以外でも、呼吸に興味を示す者、または示さざるを得ない者は、自ずと「気」に関心を持っていました。

ジャック・マイヨール 最もイルカに近い人間

ジャック・マイヨールという名前をご存知ですか。恐らくその名前を耳にしたことがあるという人は少ないでしょう。では、「グラン・ブルー」という映画はいかがでしょうか。こちらであれば、知っている方も多いのではないでしょうか。フランスの映画監督リュック・ベンソンの出世作となったこの映画は、フリーダイビングというマイナーな競技を取り上げた映画です。実はこの映画の主人公のモデルになったのがジャック・マイヨールです。フリーダイビングという競技は、どこまで深く潜水できるかを競う競技であり、呼吸を通して得た空気を限界まで使い切る(またはコントロールする)必要があります。「この競技を限界まで突き詰めると、身体が持っている知られざる能力を知ることができるようになる」とマイヨールは述べています。例えば、体内の酸素量が減少すると、人間にとって最も重要な器官である脳や内臓に酸素が優先的に運ばれ、それ以外の部分が消失するような感覚になるといった場面が挙げられます。そのような限界の状況で、彼は「気」を感じることができたのかもしれません。彼はヨガや禅はもちろんのこと、「気」についても深い見識を持っていたのです。